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米朝首脳会談の中止について

24日、米朝首脳会談が中止になった。トランプ大統領北朝鮮に中止を通告する書簡を送ったそうだ。

北朝鮮の最新発言の「強烈な怒りとあからさまな敵対心」を理由にしているが、ニュース解説などでは、金正恩の2回目の訪中の後から北朝鮮の言動が攻撃的に変わったことが原因らしい。簡単に言えば、アメリカが「北朝鮮がアメリカではなくて中国の保護下に入ることを決めた」と判断したようだ。

北朝鮮の態度の変化を踏まえて、BBCによれば、ペンス副大統領は《金委員長が米国との取引に合意しなければ、北朝鮮は「リビア方式が終わったように終わるしかない」と発言していた》。つまり、カダフィが民衆に撲殺されたよう結果が金正恩を待っているだろう、と。

これに対して《北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官、マイク・ペンス米副大統領を「愚か」、「政治的なまぬけ」などと非難。自分たちが米国に首脳会談の実施を「懇願」することはないし、外交が失敗した場合には「核による最終決戦」の可能性があると警告した》。

さて、書簡の中身は以下の通り。BBCが翻訳してくれている。

シンガポールで6月12日に開催予定だった首脳会談は、双方が長く求めてきたもので、そのための最近の交渉や話し合いにあなたがかけてきた時間と忍耐と努力を、非常にありがたく思います。会談は北朝鮮が求めたものだと知らされていましたが、それは私たちにはまったく大事なことではありません。私は会談であなたとお会いするのをとても楽しみにしていました。残念ながら、あなたの最新発言が示した強烈な怒りとあからさまな敵対心を踏まえると、長く計画を重ねてきたこの会談を、現時点で実施するのは、不適切だと感じます。そのため、この書簡をもってシンガポール首脳会談は、双方の利益のために、ただしそれは世界の不利益ですが、実現しないとご理解ください。あなたは自分の核能力の話をしますが、我々のはあまりに巨大で強力なので、決して使わずに済むよう私は神に祈ります。

あなたとの間に素晴らしい対話が築かれつつあると感じていましたし、究極的に大事なのはその対話だけです。いつの日か、ぜひともお会いしたいと願っています。それまでの間、もうすでに家族と共にいる捕虜の解放に感謝します。あれは素晴らしい対応で、とてもありがたく思っています。

なにより大事なこの首脳会談について、もし考えが変わるようでしたら、ぜひ遠慮なく私に電話するなり手紙を書くなりしてください。世界と、そして特に北朝鮮は、永続的な平和と素晴らしい繁栄、そして富を得る、素晴らしい機会を失いました。この失われた機会は歴史において本当に悲しい瞬間です。

出典:トランプ米大統領、米朝首脳会談の中止を通告 金委員長に書簡で - BBCニュース

元外交官の宮家邦彦氏は、25日早朝のラジオで、この書簡を小学生の作文と評した。聞き手のアナウンサーは「確かに簡単な文章ですよね」と返した。

ロイター*1によれば、《ホワイトハウス当局者は、北朝鮮との和平に向けた希望はまだあるとしながらも、同国はレトリックを変える必要があると指摘。「北朝鮮が望む場合、(交渉に向けた)裏口はまだ開いている。ただ最低限でもレトリックの変更は必要だ」と述べた》とあるので、この書簡もある種のレトリックなのだろう。

つまりは、アメリカが北朝鮮に、大人が子供を諭すように、「きみ?大人と話すときは、口の聞き方に気をつけようね」と言っているわけだ。

今後どうなるかは分からないが、この問題は米朝ではなく米中の話し合いになる可能性も出てきた。またロシアも首を突っ込んでくるかもしれない。

安倍首相とトランプ大統領の結束は固いようだが、韓国大統領は両陣営から「使えない」と思われていることは明らかだ。

日本にとっては、核だけでなく、日本に届くロケット全般の廃棄と拉致被害者全員の返還を要求しているが、この実現の可能性はまた見えない未来に延期されてしまった。