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渦中の日大アメフト選手の記者会見について思うこと

彼は監督だがコーチに強制されて(命令どころではない)あのような非行をしたのだったら、あのような会見をする必要はなかったのではないか、と思ったのだが、どうもそうではないらしい。

彼は弁護士に相談したようで(会見に弁護士が立ち会っている)、おそらく弁護士のアドバイスに従ったのだろう。もちろん彼自身の良心の呵責があってのことだろうが。

記者会見を開くデメリット

記者会見を開けば、彼の身バレは必至だ。

news.nicovideo.jp

テレビ局を批判しつつ名前をばらしている。

上の記事では《会見冒頭、代理人の弁護士は、宮川選手がまだ学生であることを考慮し、メディアに対して「顔のアップなどしないよう配慮を」と伝えていた》と言っているのにもかかわらず、アップを撮り続けた。新聞も彼の顔を載せていた。

マスコミが弁護士のいうことを聞くはずがない。顔のアップを撮らなければカネにならない。

先日も新潟女児殺害事件の被害者遺族が悲痛の思いでコメントを発表した最後に「どうかこのような心情をご理解いただき、今後、家族や親族等に対する取材・撮影等についてはご遠慮いただきたいと思います」と書いたのだが、テレビ局はこの一文だけ読み上げなかったという。マスコミとはこういう奴らだ。ニュースを見続ける人ならばこれは常識だろう。

マスコミのこのような態度はおそらく選手当人ほかも分かっていただろう。そのくらいの覚悟が無かったら あえて見世物になる場に行こうとは思わない。

メリットはあったのか?

記者会見を開かずに沈黙を守っても、彼は遠からず身バレしただろう。ネットで検索すれば。だがテレビ・新聞で大々的に報道されればネット検索での身バレとはワケが違う。一躍有名人だ。どうしてそんなリスクを取ったのか?

記者会見を開くくらいだから、選手は、マスコミと違って良心を持っている人物で、良心の呵責に耐えきれずに洗いざらい真実を打ち明けて謝って早く楽になりたいと思ったのだろう(楽になるのは一時的かもしれないが)。

しかし感情だけで走って、単騎でマスコミの前でそれをすればメディアリンチに合う可能性だってある。彼が(彼の親が?)弁護士に相談したのは賢明だった。

さてメリットを考えよう。

選手の心情から言えば上述のように、公の場で真実を語って謝って楽になること。ただしこれは一時的なこと。

選手の将来を考えれば、親や弁護士は、それだけでは記者会見の場に立たせることはできない。

あの非行の事実は「上に強制されてさせられたこと」なのだからこれをどのようにして、テレビ・新聞を見る大衆に訴えるかが記者会見のカギとなる。そのためには彼が真剣に反省していることをも訴えなければならない。

彼は記者会見について「顔を出さない謝罪はない」と言い、今後については「フットボールを続けていく権利も意志もない」とまで言い切った。

この記者会見を見て「選手は悪くない。悪いのは監督だ!」と思った人は多いだろう。彼に同情しない人たちも少なくないとは思うが、個人的には、懸命な処置をしたと思う(もちろん非行の後の話だが)。記者会見は成功だったと思う。

さて彼の将来のことについては私に分かるわけがないのでここで終わりにしよう。