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【歴史の転換点】ペンス米副大統領の対中批判演説

「米中貿易戦争はすでに始まっている」とされているが、「いやいや『米中冷戦』だよ。アメリカは中国をぶっ潰そうとしている」とも言われている。

そんな中、2018年10月4日、米国のシンクタンク、ハドソン研究所にてペンス副大統領が50分にわたり対中国政策についての演説をおこなった。全文の翻訳は「【ペンス副大統領演説:全文翻訳】「中国は米国の民主主義に介入している」:ハドソン研究所にて | 海外ニュース翻訳情報局海外ニュース翻訳情報局」で読むことができる。

中身

ここで話されていることをコンパクトに纏めてくださった人がいるので引用させてもらおう。

ペンス演説は、できれば一読して頂きたいところですが、米国が中国に対し門戸開放を宣言して中国を守ろうとしたという温かい歴史から説き起こし、1949年の中華人民共和国建国、1972年の米中国交正常化、WTO加盟にいたる米国の関与政策について述べた上、結果として、中国が中国製造2025に代表される次世代経済分野の90%を中国がコントロールしようとする計画や、米国企業の知財盗用、アジア全部を合わせた以上の軍備拡張、尖閣諸島出や南シナ海諸島の軍事化、スリランカのハンバントタ港を借金漬けにしての租借化、ジョージ・オーウェル的な個人情報監視体制、サイバー攻撃、宗教弾圧、台湾の抑圧やチベットやウィグルの弾圧、孔子学院も念頭においてか、さらには米国の大学や研究機関・研究者に対する影響力拡大、ハリウッド映画に対する圧力など事細かに上げ、中国が、経済、文化、軍事、サイバー、メディとあらゆる手段を使って米国を支配しようとしていると批判しています。

そして、米国の中間選挙への介入についても中国を非難し、中国が米国の民主主義に介入している(”China is medeling in America’s democracy.”)、としています。中国のやり口を知ればロシアも真っ青になるぐらい、と手厳しいです。民主主義への介入というのは、米国民の最も琴線に触れるところですから、これをあげつらったのは、米国民に対して、中国に対する団結を呼びかけたものと思います。

といった上でですが、米国はでは具体的に何を目標として、どのように行動すると言っているか。一言でいえば、中国が経済力を背景に独裁的政治システムを使って、米国及び各国に対する中国支配をやめるまで、米国は、経済力及び軍事力の全てを用いて中国の野望を挫く、ということです。ただし、今のところ手段は主として経済的なものであり軍事力は抑止的な存在だと思います。

出典:米中覇権争い④ペンス副大統領の米中リセット演説は「鉄のカーテン」演説?(松川るい。自民党参議院議員 – アゴラ

動画では、奥山真司氏と和田憲治氏の解説が面白い。

潮目が変わった!『アメリカは中共消滅までやり切る!』米国内で対中コンセンサスがあったことが判明!『中国4.0』『日本4.0』著者ルトワックとの意見交換で...|奥山真司の地政学「アメリカ通信」 - YouTube

上の動画は「10月09日|火曜20時半は生放送!奥山真司のリアリズムで見る国際ニュース「アメ通LIVE!」||※後半はニコ生、FRESH! - YouTube」の切り取り動画なので、もう少し詳しく知りたければこちらの動画を見るしか無い。

補足として、同じ両人の解説動画がある。

アメリカ、遂に中国を敵国認定!?リベラルが育てた強大な敵は、もはやイデオロギー面でも脅威となった!?|奥山真司の地政学「アメリカ通信」 - YouTube

大手メディアの解説よりは数段わかりやすいと思う。

ちなみに、上の動画の「リアリズム」の面から見ると、思想とか社会正義とか国際法など取っ払って、覇権国(アメリカ)とその地位を脅かそうとしているチャレンジャー(中国)は必ず衝突する、ということらしい。(動画「CIA、遂に米中冷戦状態と明言!サル山の行動学で見る国際政治の真髄|奥山真司の地政学「アメリカ通信」 - YouTube」を参照)。

中国つぶしはアメリカのコンセンサス

コンセンサスつまりアメリカの支配者層が大統領、議会、その周辺の人々(支配者層、エリート層)の統一した意思。

上に挙げた動画「潮目が変わった!『アメリカは中共消滅までやり切る!』[以下略]」(6分15秒あたりから)によれば、次のような人々が対中「攻撃」に賛同している。

  • エリート層(上で挙げた人々)
  • 軍事ロビー(軍事・外交ロビーが中国を敵認定)
  • テクノロジー系(知的財産が盗まれている。政治・てくのろじーなど あらゆる情報が中国に漏洩している(マルウエアやマイクロチップを仕掛けて情報を抜いている)
  • 人権活動家(ウイグル人弾圧問題が最近になってクローズアップされている。米国の人権活動家も動き出した)

ペンス副大統領の演説は、これから国内外へ向けての公式な宣言である。国内に向けては「対中冷戦」あるいは「中国バッシング」に対する「空気づくり」。国外に向けては「お前ら、俺につくか敵につくか今すぐ決めろ!」と言っているわけだ。

中国「敗北」の後、どうなるかはわからない、歴史の転換点

中国がアメリカからの圧力を跳ね返すことは不可能だ。力の差は歴然と有り、中国のこれまでの海外での振る舞いを見れば、世界各国で中国に同情する国はほぼ皆無だろう。

米ソ冷戦の後にソビエト共産党は崩壊したが、今回、中国がベタ折れしても中共崩壊は私には考えられない。

しかし、ソビエト共産党の崩壊もほとんどの人が考えられなかったらしいので、今回も有るのかもしれない。

ただソビエト共産党崩壊後のロシアを見れば、中共崩壊後も独裁政治が続くのだろう。しかし崩壊の過程の中で日本はいろいろなチャンスと混乱が有るとおもうので、日本政府は今のうちに準備をすべきだろう。