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【感想】『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰』

(レビュアーの棋力は初心者レベルであることを予めご了承ください)

藤井聡太推薦!  将棋が強くなる基本3手詰

藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰

まずは感想の結論から

詰将棋の定番といえば浦野真彦 先生の『ハンドブック』シリーズ。3手詰では2冊あります*1

私は『ハンドブック』の2冊と高橋道雄先生の『パワーアップシリーズ』一冊を何度も解いてから『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰』(以下『基本3手詰』)を手にしました。

上の3冊をやった後にこれをやると簡単すぎてあまり棋力向上には結びつかないと思いました。

しかし「『ハンドブック』をやる前にこの本をやっておけばよかった」と思っています。

これから棋力向上のために3手詰を始める人には、定番の『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』をやる前に『基本3手詰』をやっておくことをオススメします。

(『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』を解くことは棋力向上の必須条件のようです)

内容

『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』は問題集に特化していて、3手詰の解き方・テクニックは問題を解いていく中で教えるスタイルを取っています。実戦主義ですね。

これに対して、『基本3手詰』は前半で解き方・テクニックを丁寧に書いて基本を教えてから問題を溶かせるスタイルです。

目次は以下のようになっています。

第1章 3手詰へのステップアップ
第2章 詰将棋を解くコツ
第3章 基本例題3手詰 詰手筋のパターン別50題
第4章 基本3手詰140題
第5章 卒業問題10題

2章と3章で3手詰の基本的パターンと手筋が紹介され、例題が載せられています。これらの例題を何度も解いて解き方・テクニックを覚えることにより、多くの3手詰問題は数秒で正解にたどり着けるようになるでしょう。

そして解き方・テクニックの一部を忘れてもこの本の2章と3章を読み返せば見つかります。5手詰以上の詰将棋も3手詰の手筋の組み合わせが基本なのだそうですので、3手詰の基本的パターンと手筋を体得することが極めて重要なことは理解すべき点です。そしてそれは詰将棋に限らず棋力の土台となるでしょう。

これに対して『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』は目当ての解き方・テクニックがどこにあるのか分かりません。『基本3手詰』の解き方・テクニックは『ハンドブック』にも載っているのですが、問題の解答欄にあるため見つけるのに苦労します。

個人的には やはり解き方・テクニックは ひとまとまりになっていたほうが、復習しやすいし忘れた時の辞書代わりにもなるので、良いと思います。

この本は買いか否か

上に書いたように、これから棋力向上のために3手詰を始める人には、定番の『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』をやる前に『基本3手詰』をやっておくことをオススメします。

4章がメインの3手詰問題140題ですが、これをやる前に2章と3章を覚えるまで繰り返し例題を解くことをオススメします。その後に4章の問題を覚えれしまうくらい繰り返し解く。これが終わったら『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』に移り、これらも問題を覚えれしまうくらい繰り返し解く。

『基本3手詰』をやらずに『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』だけ解いても棋力は向上すると思いますが(実際それで強くなった人も多くいるようです)、始めのうちは難しさに面を食らうと思います。

やはり基本を覚えてから実戦に移ったほうがスムーズに上達できると思います。

一方、『ハンドブック』『パワーアップシリーズ』を何度も解いた人がこの本を買う必要はあまりないと思います。メインの4章の問題140題は簡単すぎると感じるでしょう。

ただし、解き方・テクニックが例題付きでひとまとまりになっているので、これを目当てに買うのはアリだと思います。

他の方のレビュー

私が『基本3手詰』を手にしようとしたきっかけは以下のレビューを読んだからです。

gerren.hatenablog.com

『基本3手詰』を読了して、このレビューの通りだと感じました。私の感想とこのレビューがほとんど同じなのはそのためです。

余談

この本のタイトルは『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰』ですが、藤井聡太さんがこの本に関与している箇所は表紙に書いてある「手筋を身につけ棋力をUP!コツをつかんで楽しく解こう」だけです!

ご丁寧に最終ページに「推薦者プロフィール」が書いてありますが、関与はこれだけです。これでいいのでしょうか倫理道徳的に(笑)

個人的には表紙の文も藤井さん自身が考えた文ではないんじゃないかと思ってます。藤井さんに名義貸しを拒否する権利があったかどうかは謎です。

ただ、中身は全日本詰将棋連盟会長、詰将棋解答選手権実行委員長が書いていて、ただの名前だけの本では無いです。



*1:新版と旧版があり、合わせると4冊